はじめに
『胃がん』について
胃がんの99%はピロリ菌の感染が原因と考えられています。ピロリ菌を除菌することで胃がんの発生を減らせることが明らかとなってから、多くの方がピロリ菌の除菌治療を受けています。除菌治療は1週間の内服薬だけで済み、成功率も非常に高いため、既に除菌成功した方も多数いると思います。
ただし、誤解してはいけないのは「ピロリ菌の除菌に成功したから、もう胃がんにならない」わけではないことです。ピロリ菌除菌により胃がんの発生リスクは1/3程まで低下するとされています。しかし、ピロリ菌感染による長年の繰り返す胃炎により、胃粘膜の胃がんリスクは残っています。除菌時の年齢、胃粘膜の胃炎の程度、生活習慣での塩分摂取量、喫煙などで除菌後の胃がんリスクが異なります。除菌後10年経ってから胃がんが発生する方もいます。発ガンリスクが1/3に減少するものの、”ゼロ” になる訳ではありません。 除菌成功後に胃の具合が非常に良くなり胃カメラを受けなくなる方がいますが、除菌治療を受けた患者さんは毎年胃カメラによる定期検診が必要です。胃カメラは胃がんだけではなく食道がんも発見できます。胃がんや食道がんが心配であれば、やはり年1回程度は胃内視鏡検査を受けることをお勧めします。
ピロリ菌を除菌した後に再感染を心配している方がいます。ピロリ菌は胃の胃酸分泌が弱い乳幼児期に感染します。胃酸分泌が十分な大人になってからは感染することは通常なく、除菌後の再感染の心配はありません。ご安心ください。
胃がんの罹患率(1975年~2011年)
- 参照元:国立がん研究センター がん情報サービス「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ」
- 単位:人
●…男性 ●…女性
当院の胃カメラの
診療特長・ポイント
当院では苦痛が少ない様に配慮された極細径内視鏡検査を使用します。胃カメラ検査は検診でも行われる一般的な検査ですが、早期がんや前癌病変を見逃さずに尚且つ患者さんに負担の無い様に観察するには非常に高い技術が要求されます。当院での内視鏡検査は麻酔薬を使い眠っている間に検査を行いますが、車やバイクの運転などがあり麻酔薬を希望されない方に関しては経鼻内視鏡でも対応させて頂いています。
口もしくは鼻から内視鏡を挿入して、のど(咽頭・喉頭)・食道・胃・十二指腸を観察します。「えずき」やすい患者さんには、麻酔薬を静脈投与して眠っている間に胃カメラを実施することも可能です。バリウム検査と異なり、粘膜の色調や構造変化を細かく観察できますので、炎症や潰瘍、ポリープの有無が瞬時に分かるだけでなく、小さな早期がんを発見することもできます。当院で採用している胃カメラは、極細径(先端部:5.4mm)のオリンパス社製内視鏡(GIF-1200N)です(ちなみに讃岐うどんの極太麺は5.8mmですので、イメージとしては讃岐うどんくらいの太さです)。細くても非常にきれいで明るい画質のカメラですので、見落としのない高精度の検査が可能です。異常が見つかった場合には、小さな組織を採取して病理検査を実施します。通常、胃カメラ検査にかかる時間は5~7分程度です。
※胃カメラ・大腸カメラ両方を同じ日に続けて受けていただくことも可能です。
Point01苦痛に配慮した内視鏡検査
当院の内視鏡検査は麻酔薬を使い眠っている間に検査を行います。麻酔薬を使用する事は患者さんがつらい思いが少なくなるだけではなく、検査中に胃の中の観察がしやすく、小さい病変も見逃しにくくなるという、患者さんにとって最も重要な部分でのメリットがある事を知って頂けたらと思います。
Point02精度の高い検査
患者さんに負担をかけない為にも検査時間は短い方が理想ですが、同時に見逃しがないように観察する必要もあります。両方のバランスを考慮した内視鏡検査を行います。10分以内にNBI観察や拡大観察、色素撒布など併用し、見逃しのない検査を心掛けます。
Point03極細径内視鏡による検査
内視鏡検査は麻酔薬を投与して眠っている間に行う方法がベストと考えますが、患者さんの状況により使えない場面もあるかとは思います。そのような状況を想定して、当院では、極細径内視鏡による胃カメラ検査を実施しています。スコープの直径は5.4mmで以前の経口胃カメラ(直径8.9mm)と比較すると40%細くなっており、苦痛が少なくなるように配慮されてます。
胃カメラ
検査料金
当院では麻酔薬を使って検査を行うため、検査前にどこまで検査を行うかを必ず確認を行います。
麻酔薬を使って眠っている間に余分な検査まで行われたという事はありませんのでご安心ください。
但し、病理組織検査については行うか行わないかは事前に予測は不可能な為、検査時の医師の判断にお任せ頂けたらと思います。もちろん必要以上に組織検査を行う事はありません。
検査の内容 | 1割負担の方 | 3割負担の方 |
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胃カメラ (観察のみ) |
約2,000円 | 約5,000円 |
胃カメラ +病理組織検査 |
約3,000円 ~4,500円 |
約9,000円 ~13,000円 |
胃カメラ +病理組織検査+ピロリ菌検査 |
約3,500円 ~5,000円 |
約10,000円 ~15,000円 |
ご留意点
- 上記費用とは別に、初・再診料などが必要です。
- 病理組織検査は、組織を取った部位よって保険点数(料金)が異なります。
- 内視鏡検査の料金表には診察料や血液検査など内視鏡検査に付随する検査料金は含まれておりません。
- 検査時に潰瘍から出血しており止血術を行ったり、異物(アニサキスなど)を除去したなどの処置に関しては内視鏡手術の枠になりますので保険点数に基づいて料金を算定させて頂きます。
胃カメラ検査の流れ
- 01Webから診察の予約
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下記ボタンより診療ご予約をしてください。
- 02医師の問診
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必要により血液検査を行います。現在の症状や過去の検査歴などをお聞きします。
- 症状(いつからどんな症状があるのか)
- 過去や現在の病気の有無・薬の内服の有無
- 家族歴の有無
- 薬剤アレルギーの有無
- 03スタッフより説明
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検査日の予約と検査前の注意事項の説明があります。
血液をサラサラにするお薬を飲まれている方は必ず申し出てください。
最近はガイドラインにより、お薬を飲まれていても休薬せずに組織検査は行う事は出来ますが、ワーファリンや2種類以上の抗血小板薬を服用されている方の場合は組織検査が出来ない場合もあります。咽頭反射が強い方、たとえば歯磨きでもえずいてしまう方はお申し出ください。
- 04検査日
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検査前日午後10時以降は絶食になりますが、前日の夜も当日も飲水はOKです。予約時間に来院して頂きます。
食事をしていない事を確認した後、リカバリールームで胃の粘液と泡を消す薬を内服します。
- 05麻酔薬投与
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内視鏡室で麻酔薬を静脈注射します。
麻酔薬を投与した後は眠った状態(効果には個人差があり完全に眠らない方もいますが頭がボーっとした状態)になります。
- 06検査開始
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当院の胃カメラ検査自体は約5~10分で終了します。その間、通常の内視鏡検査に加え、NBI観察、色素内視鏡などを駆使して微小病変も見逃さないように観察をしていきます。
必要があれば病理組織検査(生検)やピロリ菌検査(粘膜培養検査)も行います。
- 07検査終了後
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車椅子でリカバリールームまで移動し、麻酔薬の効果が消えるまで約1時間ほどゆっくり休んで頂いてから帰宅して頂きます。
- 検査終了後、乗り物(車、バイク、自転車など)の運転は出来ませんので、必ず公共の交通機関(電車、バス等)で来院下さい。
- 08検査結果説明
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後日、外来診察で検査結果を丁寧に説明させて頂きます。(通常、病理結果およびピロリ菌結果が揃うのに1~2週間程度かかります。)