『他の病院で大腸カメラを受けて、あまりにも痛すぎて検査を途中で中止した』という患者さんが当院によく来院されます。
後日、当院で大腸カメラを受けた後、『どうしてこんなに痛くないんですか?』と皆さん驚かれます。
大腸カメラで痛みが発生する理由は腸管に無理な力が加わることで痛みが発生します。
内視鏡技術が未熟な医師が検査を行うと、不自然な力が腸管に加わることによりおなかに激痛が生じます。場合によっては腸管が破れて緊急手術になることもあります。
内視鏡操作が難しい患者さんの場合、ほとんどケースで大腸に癒着があります。
おなかの手術歴がある方や過去に虫垂炎を患った方、婦人科の病気がある方には必ず腸管に癒着が起こります。
腸管癒着とは『腸管と腸管』、『腸管と子宮・卵巣』、『腸管と腹壁』といった具合に腸管が他の臓器とくっついて離れない状態の事を言います。
大腸カメラを行う時に、この腸管癒着があると腸管の可動域が制限されるため、腸管に不自然な力が加わることにより痛みが発生します。
癒着がひどい場合には内視鏡が大腸の奥まで入らないこともあります。
しかし、心配はいりません。
もし、大腸カメラが大腸の奥まで入らなかったとしても、CTコロノグラフィー(CTC)という方法で大腸検査を受けることが可能です。
CTC とはお腹のCT画像を3Dに画像処理して、ポリープや癌などの病変を見つける検査です。
お腹のCT(断層撮影)を撮るだけなので、苦痛が無くて安全な検査です。
当院でも年に1人くらいどうしても大腸の奥まで大腸カメラが入らない患者さんがいますが、その場合は近くの連携病院でCTCを受けてもらっています。
大腸カメラはある程度リスクを伴う検査なので、無理は禁物です。検査は何より安全第一です。
お腹に激痛が走るということは、『これ以上無理すると腸が破れますよ!』という体からの警告です。
患者さんのトラウマになるような検査は、たとえ必要な検査であっても行うべきではないと私は考えます。
過去の大腸カメラがトラウマになっている方は、是非ご相談下さい。
あんどう胃・大腸内視鏡クリニック
院長・医学博士
安藤祐吾